特修生制度とは
1 背景事情
諸事情で高校に行かなかった方,高等学校を中退した方,大検(現在は高卒認定試験)にチャレンジ中だがまだ合格していない方など,いわゆる大学入学資格のない方には,従来あらゆる大学への出願・入学はできませんでした。しかし、最近では,多くの大学で,このような状況の中でも向学心にあふれる方々には高等教育を広く公開するという理念により、通信教育課程に「特修生」(大学によっては「入学資格取得生」などとも呼ばれ統一されていない)の制度を設けています。
基本的には,憲法23条によって特に大学には学問の自由が保障されていることから(もちろん,高校・中学などにあっても原則として学問の自由が保障されているとするのが最高裁判所の見解ですが,教育の画一性・統一性,さらには生徒の等しく教育を受ける権利との調整から,多くの制限があるのが現実です),大学で何を研究しようが,誰を入学させようが自由であるのが原則です。
ただこれまでは,大学教育の質を向上するために,ある一定の基礎知識を有する者だけを入学させたいという大学側の要請から,一般に高等学校を卒業した者を原則として入学させることになっていました(学校教育法56条)。しかし,周知の通り,少子高齢化が進み,大学側の現実問題として生徒確保による経営基盤の安定を図る必要が如実になってきました。そこで,大学側がとうとう伝家の宝刀である上記憲法における学問の自由の根本思想から,学校教育法の拡大解釈により,高校を卒業していなくても入学を許可する制度構築に踏み込んだといえましょう。
このような背景事情から,特修生制度を設けているどこの大学でも,自己の大学の特修生として一定の単位を取得した場合には,自己の大学にのみ入学でき,他大学へは入学を認めない制度となっています。生徒確保の目的が明らかなのは,この点からもいえると思います。
ただ,制度の根拠がたとえ不純なものであっても,私は,この特修生制度はとてもよいものと思います。これまでの日本の大学に対する捉え方は,制度疲労を生じてきており,すでに世界ルールから非常識になっていると思われます。すなわち,日本はまだ,「〇〇大学に入学したんだ。すごいね。頭がきっといいんだね〜」と,どこの大学に「入学」したかで,その人の学歴についての評価をする。そして,大学にいったん入学してしまえば,ほとんどの学生がそのまま卒業できます。しかし,これはおかしい。そもそも大学の入試をパスしたということは,単に「高校までの知識がしっかり頭に入っている」ことを,ある一時点(入学試験の際の数時間)において証明されたにすぎません。どこの大学に合格しようが,それはただのスタート地点に立ったにすぎないのです。「国立〇〇大学を卒業しました。でも学生のときはサークルとアルバイトで大忙しでした。法学部卒だけど法律は知りません〜」とヘラヘラ笑う社会人のどこに大卒として評価を受ける資格があるのでしょうか。
大学は「入学」することには何の意義もないのです。大学で何を学び,社会に貢献しうるどのような専門知識を身につけたのかが,一番大切なのです。つまり,大学は卒業することに意義があるのです。であるならば,入学の際の試験や資格などそもそも問う必要はない。誰でも大学教育を受けられるようにしておくべきです。卒業できるか否かは,その人がちゃんと勉強し卒業のための要件を試験で充たしたかどうかです。勉強しない人間に大学卒業資格を与える必要はまったくないのです。
これからは,ますます世界を相手に政治・経済・社会の発展を日本は考えなければなりません。そこで第一線で活躍する人たちには当然専門知識が必要となります。すなわち,誰でも,高度な専門知識を身につけるため,大学に入学し学べる体制を準備しておかなければならないのです。そこでは入学試験やら入学資格などは何ら意味をなさない。
特修生制度をひとつの突破口として,大学教育のあり方がよい方向に向かえば,まさにひょうたんから駒ということでしょう。まあ,理由はどうあれ,誰でも大学で学べるチャンスができたのであり,これを利用しない手はないでしょう。学びたいと思われるかたは,ぜひこの制度を利用して,大学を卒業しましょう。
2 特修生制度の内容
上に記した背景事情からもお分かりの通り,特修生という制度さらにはその呼び名自体,統一性がなく各大学により内容を異にしております。ただ,共通する点も何点かあるので,ここではまず特修生に共通する事項について確認しておきましょう。
第一に,特修生として大学に所属するためには,一定の年齢に達していなければなりません。何歳でなければならないかという点については,大学により異なります。15歳〜18歳の間という点では共通しています。
第二に,特修生として取得した単位などは,特修生として所属した大学でのみ有効となります。つまり,たとえば法政大学の特修生として一定の単位を取得し,法政大学に入学できる要件を備えたからといって,他の大学に入学することはできません。ここが高卒資格を有する場合との大きな相違点となります。
第三に,特修生を経て大学に入学する場合は,通信教育課程のみであり,通学課程に入学・転籍することはできません。
第四に,特修生を経て大学通信教育課程に所属し一定の単位を取得し卒業すれば,正式な大学卒業資格を取得できます。つまり,高校を卒業して大学に入学した場合と何ら異なるところはありません。
以上の4点が,特修生に共通していえることです。一般の高卒から通学部生と比べれば,多くの制約が課せられているように見えますが,途中で大学を変えたいとか,学部を変更したいといった,イレギュラーなことがない限り,上記の制約はたいして気になることではないと思われます。また,通学部に編入することができないという点についても,Kenビジネススクールが推奨する方法によれば,解決できます。つまり,ある方法で特修生を利用すれば通学部への転籍も可能となります。詳細は,入学案内をご覧下さい。
3 特修生制度を設けている大学
特修生の欄に〇が付いている大学が,特修生の制度を有している通信制大学です。
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