宅建試験に絶対合格する方法
敵を倒すには,まずは敵を知る必要がありますね。ただ漫然と勉強していてはどんな資格試験も合格できません。宅建試験とはどういうものかを知る必要があります。
宅建試験,正確には「宅地建物取引主任者資格試験」には,2つの特徴があります。それは,宅建試験で出題される問題の70%〜80%は過去に1度出題された問題から出題されていることと,法律改正されたところからの出題が多いという2点です。
宅建試験はもちろん国家資格なので,過去に1度出題された問題といっても,まるっきり同じ問題がでるわけではありません。言葉をかえて,視点をかえて,同じ知識について出題されるということです。ここまではどの予備校本でも書かれていることです。ただ,注意しなければならないのは,過去に出題された問題の70%〜80%というのは,問題ごとの話しではないということです。選択肢ごとです。どういうことかというと,宅建試験50問のうち,35問〜40問程度が過去に出題されたところから出題されるというのではなく,50問×4の200肢のうち,140肢〜160肢が過去に1度出題された選択肢からの出題だということです。ここを間違えると,合格までの勉強量と時間が数倍に跳ね上がります。短期に合格するためには,ここをまず知らなければならない。
次に,法律改正されたところから宅建試験はよく出題されます。しかし,ここ数年は,前年の改正がすぐに出題されるということはなくなりました。予備校があまりにも改正点にこだわったからなのでしょうか。昨年度の税法の試験問題は1年おいての出題があった。まあ,過去2年程度の改正の動きはしっかり勉強していなければならないでしょう。法律の内容がすべて改正されるということはないので,改正点の勉強は,数時間で終わります。これはちゃんと準備して試験会場に向かわなければならないところです。
では,なぜ宅建試験は1度過去に出題されたところから,出題されるのでしょうか。
これは別に,出題者が問題をつくるのが面倒だからではありません。例年同様の問題を出題していれば,毎年むらのない宅建主任者を生み出すことができるからです。毎年出題傾向をかえてしまったら,何年度の宅建主任者はできが悪いが,何年度の宅建主任者はできがいい,などとなってしまうからです。過去問からの出題が多いという点にはちゃんと理由があるのです。これは他の法律系国家資格にもあてはまります(司法試験の論文試験は例外ですが)。
法律改正されたところから出題されるのはなぜか。
宅建試験や公認会計士試験の択一式試験は,改正点がすぐに出題されます。これにもちゃんとわけがあります。予備校に通っている人の合格率を上げるためではありません。
そもそもなぜ法律は改正されるのでしょうか。
法律の「ほ」の字も知らない方は,「えっ!法律って改正されているの?」と疑問に思うかもしれません。そんな方は1度衆議院のホームページを御覧なさい。改正情報というところをクリックすると,第○○回通常国会で成立した法律というページが現れて,何度もスクロールしないと全部見ることができないくらい,日本では毎年法律が改正されています。宅建試験で必要となる法律科目の場合,毎年どこかしら改正されています。
話を戻します。法律はなぜ改正されるのか,ということですが,もちろん,国会議員の利権だけではないです。これまでの法律ではうまく行かなくなったからです。法律は規範(ルール)ですから,世の中が変われば,ルールもかえる必要があるのです。中学校の校則でロングスカート禁止(私が学生のころは,女子でぐれている人はセーラー服のスカートを地面に引きずって,フランケン・シュタインみたいな頬紅をつけて遅刻してくるクラスメートが何人かいたな〜)というのが昔ありました。今ではそんな人はどこにもいません(いたらごめんなさい)。今は逆にミニスカートにする方が流行っているのでしょうか。世の中変わったら,ロングスカート禁止というルールは意味をなさなくなります。学校内の秩序と生徒の健全育成という目的を達成するために,校則はかえていかなければならないのです。法律も同じなのです。
しかも,宅建試験は,不動産取引を扱う重要な国家資格です。お客さんと契約を結んでから,「あれ〜ごめんなさい。この法律今はもうないや。悪い,やり直し」なんてことがあっては大変なことになります。不動産取引はコンビニでジュースを買うのとはわけが違います。1回の取引で数千万ときには数億円が動くこともあります。ごめんじゃ済まないことが多いのです。お客様の人生をダメにしかねないくらいといっても過言ではないでしょう。特に,税法の改正を間違えると資金計画がくるって,返済が困難になることもあるでしょう。だから,宅建試験は改正されたところが出題されるのです。
以下の表は,ここ10年間の権利関係からの出題傾向を示したものです。
宅建試験は,範囲は広いが,実際に出題されているのは,ごくごく一部の知識しか問われていないことがわかります。
| 項 目 |
95 |
96 |
97 |
98 |
99 |
00 |
01 |
02 |
03 |
04 |
| 1.意思表示 |
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| 2.制限能力者 |
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| 3.時効 |
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| 4.代理 |
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| 5.債務不履行・解除 |
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| 6.危険負担 |
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| 7.弁済 |
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| 8.売主の担保責任 |
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| 9.相続 |
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| 10.物件変動 |
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| 11.不動産登記法 |
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| 12.抵当権 |
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| 13.保証・連帯債務 |
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| 14.共有 |
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| 15.建物区分所有法 |
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| 16.賃貸借 |
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17.借地借家法
(借 家) |
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18借地借家法
(借 地) |
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| 19.不法行為 |
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| 20.請負 |
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| 21.委任 |
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| 22.債権譲渡 |
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| 23.相殺 |
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24.民法
―その他の問題点@ |
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25.民法
―その他の問題点A |
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もちろん,これ以外のところからの出題もあります。しかし,宅建試験に合格するためには一切勉強する必要がない,と言っても過言ではありません。
ちなみに,宅建試験では,権利関係からの出題は例年15問(平成17・18年度は16問出題されています)となっています。そして合格者はそのうち8〜10問程度正解しています。宅建業法は16問出題されますが,宅建業法の場合は合格者の平均正解率は13〜15点となっています。
権利関係(民法・借地借家法・不動産登記法・建物区分所有法)は,例年正解率が低いのです。ここは,後に説明する短期合格勉強法で重要なポイントになります。
さて,次の問題は,過去に宅建試験に出題された問題を肢別にしたものです。それぞれ別の年度に出題されたものです。
| A所有の土地について,AがBに,BがCに売り渡し,AからBへ,BからCへそれぞれ所有権移転登記がなされた。Cが移転登記を受ける際に,AB間の売買契約がBの詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で,当該登記の後にAによりAB間の売買契約が取り消されたとき,Cは,Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。 |
| A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している。Aは,Bにだまされて土地を売ったので,その売買契約を取り消した場合,そのことを善意のCに対し対抗することができる。 |
この2肢の問題は,宅建試験に合格するためには,当然知っていなければならない知識である,民法の意思表示の問題です。過去10年間で7回も出題されています。
さて,これらの2肢は,問われ方が違いますが,まったく同じ知識の有無を判断するための問題です。
民法96条は,詐欺・強迫による意思表示を取り消すことができるとしています。取り消すとは,簡単に言えば,はじめからなかったことにすることです。騙されて土地を売ったとか,おどされて土地を売ったとかいった場合に,騙された人,おどされた人が後になって,「売ったということをなかったことにしてくれ!」として,土地を取り戻すことができるということです。
ここまでは,詐欺も強迫(脅迫となっていない点は気をつけて下さい。ちなみに,刑法という法律の脅迫罪は強迫ではないです)も同じです。ただ,さらに第三者がこの不動産の取引に介入すると事情はことなってきます。問題文だとたいていCが第三者となります。Cが前の取引が詐欺だと分からずに土地を購入していたような場合は,たとえだまされて土地を売ってしまっても,事情を知らないCから土地を取り戻すことができなくなります。しかし,強迫されて土地を売った場合で,第三者Cがその土地を購入した場合は,取り戻すことができるのです。だまされた場合はだまし取られた土地を取り戻せず,おどされた場合は脅し取られた土地を取り戻すことができます。事情を知らない第三者が現れた場合は,まったく結論がことなります。これは宅建試験ではAランクの重要度をもっています。ここで憶えてしまいましょう!
ではなぜなのでしょうか?
それは,だまされた人にも少しは責任がある,と法は考えているからです。おどされた人はきぜんとした態度で立ち向かうべきだとは法は考えていないのですが,だまされる人に対しては,ちゃんと調べるなりすればだまされなかったんじゃない?と少し責任を負わせましょう,というのが法の立場なのです。
このように説明すると,だまされた人の立場にだけ立って事件を見ている人は,「そんなバカな!法律は世の中を知らない!弱者の見方じゃないのか!」と思うかもしれない。でも考えてみましょう。事情を知らない第三者にとって,「だまされたから取消ね。土地を返してね。お金? 私をだましたBさんから取り戻すのがすじでしょ。私はしらない・・・。」では,これもたまったものではないでしょう。第三者Cの立場になって考えればわかることだと思います。
詐欺した奴が悪い!奴を糾弾すればいいんだ!
と凄む方もいるかもしれません。
その通りです。それは正論です。小学生でもわかります。法律ももちろんそうなっています。
しかし,それは空論なのです。悪い奴を懲らしめればいいんだ,で事件を解決できるなら法律家などはいりません。現実の社会は,もっと複雑で納得のいかないことの方が多いのです。
問題文のようにAをだまして土地を奪い,さらに事情をしらないCにその土地を売ったという場合,Bはもちろん詐欺行為をはたらいているので,手が後ろにまわります。つまり,犯罪者です。考えてみましょう。犯罪を犯してまでもAと売買契約を結ぶような人ってどんな人でしょうか。たぶん,それを仕事にしている方々か,借金で首がまわらずやむなく犯行に及ぶといった人が多いのではないでしょうか。
どちらにしても,事件が明るみになったときは,Bは逃亡しているか,借金取りにお金をすでに返した後で何も残っていない状況でしょう。犯罪者のBに対して一生懸命,損害賠償を求めても実際にはほとんど戻ってきません。これが現実です。
つまり,残されたのは,だまされたAと,Bに代金をしっかり払ってしまった事情を知らないCと,土地,なのです。
これを機に,AとCが同居生活をはじめれば解決するかもしれませんが,あまり現実的ではないでしょう。
ですから,この場合,残された土地をめぐって,AとCのどちらかに泣いてもらわなければならなくなるのです。どちらに泣いてもらうかを決めるのが,法律なのです。
民法は,この「どちらに泣いてもらうか」という視点がとても大切です。どっちも救いたいが,それができない。ここが民法の勉強の難しさでもあり,簡単さでもあります。
解決方法は,
「本人の帰責性と第三者(相手方)の要保護性」
を基準にして天秤にかけます。
弁護士バッジを見たことありますか?
ひまわりの絵の真ん中に,天秤(てんびん)の絵が描かれています。これは別名,正義の天秤と呼ばれているものです。
ギリシャ神話に出てくる正義の女神(人間世界が大好きで,ギリシャの神々の中でも一番最後に天に帰ったといわれています)が,人間社会が不公平になっていくのを防ぐために,不公平かどうかを判断するのに使った道具が正義の天秤です。ちなみに,正義の女神は天に昇って乙女座となったそうです。そして乙女座の横には天秤座があります。
このギリシャ神話から,天秤は正義の象徴となったそうです。
まあそれはさておき,不公平・不公正を天秤にのせてはかるという手法は,近代法の大原則となっています。民法に限らず,どの法分野でもこの天秤は使われています。
だまされた人の帰責性(責任という意味です)と,第三者(相手方)の要保護性(保護されるにあたいするくらいに慎重に行動した上で取引したかどうか)を,天秤にかけて,AとCのどちらに泣いてもらうかを決めるのです。
この感覚はとても大切です。実は,法律は暗記科目ではありません。考え方を学ぶことが何よりも大切な分野です。そして,それがわかれば,細かいことを暗記しなくても,十分事件を解決できます。事件を解決できるということは,試験問題でも正解を導くことができるということです。
もう一度いいますが,だまされた人には,多少なりとも責任があり(帰責性),第三者が購入したときに事情をまったく知らなかった場合は,その第三者を救うべきだ(要保護性)ということになるのです。
こうやって,正義の天秤を使うのです。
ちなみに,私は乙女座です。
これを踏まえて,もう1問やってみましょう。
| A所有の土地につき,AとBとの間で売買契約を締結した。Bは当該土地につき第三者との間で売買契約を締結していない。Aが,Cの詐欺によってBとの間で売買契約を締結した場合,Cの詐欺をBが知っているか否かにかかわらず,Aは売買契約を取り消すことはできない。 |
さて,これも正義の天秤で考えれば,おのずと答えがでますね。
これまでの事例とは,ちょっと違いますね。だました人が土地を手にしていません。CがAをだまして,BがAから土地を購入しています。
でも,ぜんぜん悩む必要はありません。これもAの帰責性と,Bの要保護性で判断すればいいのです。ですから,Bが事情を知っていれば救う必要はなくなりますし,事情を知らなければ救うべきだということになります。
もう1問行きましょう!
| Aが,Bの代理人として,Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した。AがBから抵当権設定の代理権を与えられ,土地の登記に関する書類,実印,印鑑証明書の交付を受けていた場合で,CがBC間の売買契約についてAに代理権ありと過失なく信じたとき,Cは,Bに対して土地の引渡しを求めることができる。 |
これは表見代理の問題です。代理というのは,契約を他人にお願いすることをいいます。実際に契約を行なってくる人を代理人といって,それをお願いした人を本人と呼びます。
この問題も正義の天秤でかたがつきます。
本人Aの帰責性と,Cの要保護性を正義の天秤にのせて判断します。
代理人B,抵当権を設定してお金を借りる権限しか与えられていないのにもかかわらず,勝手に本人Aの土地をCに売ってきてしまったわけです。この場合のBを特に無権代理人と呼びます。このBが悪い奴だということは誰でもわかります。そして,実際,横領罪・背任罪・詐欺罪などの犯罪になる可能性はあります。Bに責任追及(損害賠償請求)できるのは火を見るより明らかです。でもさっきと同じように,こんなことをやる人は,責任追及されるときには,逃げてるか借金取りにお金を取られてスッカラカン状態です。損害賠償請求をしても,訴訟費用と時間を無駄にするだけです。
残されたCとAのどちらかに泣いてもらうしかないのです。
Aには,本人Aを裏切って勝手に土地を売ってしまうようなBという人に代理権を与え,実印や印鑑証明を渡したという責任があります(帰責性),そして,CはBから土地を購入する際に,何の落ち度もなく(無過失)Bはちゃんとした代理人だと信じて契約したのです(要保護性)。正義の天秤は,Cに傾きます。
どうですか?
宅建試験は何度も同じ問題が出題され,なおかつ,出題者が合格者に求めるものが何かということもわかったと思います。丸暗記ではないのです。逆に理解せずに丸暗記してくる受験生と,理解した上で最低限の知識を覚えている受験生とを振り分けるために,出題者は問題を作っているのです。
この項目を見ると,びっくりされる方がいるかもしれません。
ある意味これは正しく,ある意味これは間違いでもあります。
中途半端に勉強好きな人は,宅建試験に限らず試験という試験に不合格になりやすい,といった方が正しいかもしれません。
私は,予備校・専門学校・企業研修などで長く宅建講座をうけもってきております。そこで多くの受験者を見てきました。その経験上,上のようなことがいえます。この点をもう少し細かく説明しましょう。
合格者と不合格者,受験者の結果にはこの2つしかありませんが,受験者のタイプで分けて考えるともう少し細かな分類ができます。
@
満点近くで合格するタイプ
A 30点台後半から40点台前半で合格するタイプ
B
合格ラインぎりぎりで合格するタイプ
C 1〜3点足りずに不合格になるタイプ
D
合格ラインがまだまだ遠く不合格になるタイプ
@の満点近くで合格するタイプは,勉強好きな人です。とにかく法律を学ぶことが大好きで,徹底的に勉強するタイプです。このような人はほっておいても必ず合格します。
Aの30点台後半から40点台前半で合格するタイプが,いわゆる合格者と呼ばれる人たちでもっとも多い人たちです。彼らの中には勉強好きな人もいますが,そうでない人の方が多いと思います。ただ,絶対に合格しなければならないという強い意志をもって,毎日計画的に勉強を進めるタイプが多いです。そして,このタイプに共通して言えることは,試験直前規になればなるほど,不安になり,緊張しだすことです。試験前に不安と緊張で眠れなくなる人こそ,合格する人なのです。
Bのタイプは,勉強好きな人はほとんどいないと思います。予備校などに通って,講師の言うがままに勉強をすすめるタイプが多い。とにかく,出ないところは手をつけないという割り切りと楽観的なところを持ち合わせている人が多い。目標としてあるのは,合格だけで,試験の後にすべてを忘れてしまうタイプもここに多いのではないでしょうか。
Cのタイプは,Bのタイプとほぼ同じタイプの人達です。Bの人たちよりも運がなかった人です。しかし,このタイプの人たちは,翌年の宅建試験では,Aの合格者になります。2度目の試験に落ちれば後がないという人たちが多いので,必死に勉強します。この人たちは合格後に,さらなる資格を目指す人が多く,しかも,失敗経験を活かして,次から次へと難しい資格を取得して行く人も多いです。私の教えた生徒の中にも,不動産鑑定士や司法書士へと進む人が何人もいます。
Dのタイプは,論外です。このような人たちは,試験会場でまったく緊張していません。そして,なぜだか,このような人たちは,試験がはじまるまでは,「自分は今年合格するかもしれない」という根拠のない自信があったりします。そんな人はほとんど合格しません。
これを見ている皆さん,というより絶対合格するぞ!と誓った方は,Aのタイプを目指して下さい。Aのタイプになるにはどのような勉強が必要なのかは後でお話します。
知識があっても不合格になるというのはどういうことでしょうか。これも一見すると不思議に思うかもしれません。
宅建試験や他の法律系国家資格試験は,知識があるだけでは合格は絶対にできません。
これも中途半端に勉強好きな人がこれに陥る可能性をもっています。
さらに,中途半端に勉強好きな人は,中途半端に学歴や経歴にプライドをもっている人が多いのも事実です。自分は〇〇大学法学部卒業だ!とか,自分は〇〇株式会社という上場企業の社員だ!という変なプライドは,宅建試験に合格するためには何の役にも立ちません。逆に,そのプライドが合格を遅らせることにもなります。
宅建試験に合格する方法は1つしかありません。
それは,毎年10月の第三日曜日の13時〜15時に実施される宅建試験で,50問ある問題のうち,35問程度正解することです。
ただそれだけです。
知識を増やすために本を読むことは試験内容ではないのです。
試験の内容は,2時間という決められた時間内に,50項目あるマークシートに正解肢の番号を黒塗りすることなのです。
回りくどい言い方をしていますが,要は,4肢択一試験の答えを見つけ出す作業が2時間以内にできなければ,どんなに知識があっても合格できないのです。
私達の業界では,正解肢を時間内に見つける作業を鍛える勉強方法を,アウトプット勉強法と呼んでいます。簡単に言えば,時間を決めて問題を解く勉強方法です。
どんなに多くの知識があっても,4つの選択肢から1つだけの正解肢を見つけられなければ0点なのです。
「そんなバカな。知識があればどれが正解肢なのか判断がつくでしょう。」と思われる人もいるかもしれません。
それが甘い!
出題者はそのような人を不合格にするために,わざと悩ませるような肢を1つの問題の中に2つ用意しています。2つで悩めば,それだけで正解を導く可能性は50%になります。ちなみに,合格者はここで間違いなく正解肢を選びます。
それは,数多くの過去問題を解くことで,出題者の意図を読み取り,いわゆる「引っかけ問題」であることを瞬時に見抜く力が付いているからです。
つまり,知識とともに問題を解くテクニックを身に付けなければ,とうてい2時間以内に合格点をはじき出すことはできないのです。
最後に,何度受験しても不合格になる人へのアドバイスもかねて,そうならないための方法を教えます。
何度受験しても不合格になる人のタイプには,3つあります。
ひとつは,勉強しない人です。これは論外。アドバイスはありません。
もうひとつは,勉強しているが落ちる人です。
さらに,この勉強しているが落ちる人には2パターンあります。
1パターンは,本試験では時間内に全問解き終わって,見直す時間まであるのに,不合格になってしまう人です。
このような人は,法律知識や法律用語を間違えて憶えている可能性が高いです。法律は,良いか悪いかは別にして,法律用語という一般では通用しない言葉がいっぱい出てきます。
たとえば,法律で「善意」と言った場合,良いという評価の意味ではありません。単に「知らない」という意味です。また「背信的悪意者」なんてセンスの悪い言葉(最高裁判所が使った言葉です)は,日本語でいう「悪い」という意味です。
このように法律用語や法律知識は,一般社会では使わない言葉が使われているので,このようなタイプの人は丁寧に法律用語と法律知識を,再確認する必要があります。ただ,1度間違えて憶えてしまったものは,なかなかそれに気付けません。このような方は,すなおに信頼のおける予備校の講師の講義を受けた方が無難でしょう。
もう1パターンは,ちゃんと勉強していて合格できるだけの知識があるが,時間内に全問解くことができず不合格となってしまう人です。
このような人は,法律用語に慣れていない人です。
宅建試験は,50問を2時間で解かなければならないので,1問にかけられる時間は2分半程度です。ただ,建築基準法の建ぺい率・容積率,相続分の計算,報酬額の計算などでは,どうしても4〜5分の時間がかかるので,それ以外のところで調整する必要があります。さらに,民法などは,じっくり考えれば答えがでる問題も多いので,できれば1問に3分程度はかけたいものです。
ということは,宅建業法,法令制限,税法,免除科目,などは1問につき1分半程度で正解を導きださないと,合格点をとることが難しいということになります。これは一朝一夕では,とても身に付かない解答スピードです。しかも,問題文はすべて法律用語で出題されますので,法律用語に慣れていないと,早く問題文を読むことができません。
このタイプの人に多いのが,人気講師(あきさせない,おもしろい先生)の講義だけを繰り返し聴いている人です。大手予備校の場合,合格させる講師というよりも,ハンサム(美人)で,話しが面白い先生がどうしても人気が集まります。また,大手予備校は,集客するために,受講生にアンケートをとらせ,人気のある講師だけを残していくという経営戦略を立てています。
私も,大手予備校で講師をしているので,講師として生き残るために,あきさせない講義,おもしろい講義を心掛けてはいますが,それと同時に合格させる講義を意識しています。最後は,合格させられる講師が生き残るのですが・・。
おもしろい講義なんだけれども,合格者を出せない講義というのは,法律用語や法律知識を噛み砕いてわかりやすく教えるだけの講義です。このような講義を受けて合格する人は,自分でかならず過去問集や教科書で復習する人たちです。ろくに復習もせずに,講義テープを繰り返し聴くだけの人は,絶対に合格できません。理由は簡単です。宅建試験は法律用語で出題されるからです。わかりやすい言葉では出題してくれていません。
合格させられる講師の講義(私はそうしています)は,法律用語を噛み砕いてわかりやすく教えることは当然として,必ずその知識を法律用語でも説明しています。私は,それをあえて教科書を使って受講生と一緒に読み上げています。受講生さんが,私の講義をテープにとって自宅で聴きなおすことも想定して,私は講義しています。
おもしろい話をするだけの講師には注意しましょう!この点は,後で詳しくご説明します。
まとめますが,時間内に終わらずに合格できない人は,法律用語に慣れることを心掛けてください。もちろん,「法律用語辞典を購入して読み込む」なんてバカな勉強はしないで下さい。宅建試験が法律用語で出題されているので,その宅建試験(過去問)で法律用語に慣れればいいのです。つまり,過去問を何度も繰り返し解くことで,法律用語を自然に早く読むことができるようになります。
私は大手予備校で,大学院に在学中から教材作成・講義にたずさわってきました。小学校・中学校・高校・大学・社会人,すべてについて講師経験があります。実名はあげられあせんが,皆さんもご存知の資格予備校のいくつかでメイン講師をしていました。
この私の講師経験から独断と偏見で,予備校選びのコツを教えます。
まず,予備校は,あくまでも「予備」校だということを忘れてはいけません。良い予備校に通えば,それだけで合格するということは,絶対にありません。最後は,自分で勉強しなければ合格できないのが,国家資格試験です。
予備校は,時間をお金で買うところ,です。
独学だけでも,宅建試験は当然合格できます。ただ,予備校で良い講師にめぐり合った場合は,独学だけで勉強する半分以下の知識と時間で合格することができます。人生に与えられた時間は有限です。限りある人生の大切な時間を,わずかばかりのお金で買うという表現が,予備校にぴったりだと私は思います。
その意味で,私は宅建試験といえども予備校に通うべきだと思います。
独学で勉強して不合格となり,次の年に予備校に来る生徒を,私はこれまで多く見てきております。
宅建試験は年に1度しかないのです。
「去年もちゃんと先生のところに来ればよかった・・・」と苦笑する受講生を多く見ている私は,冗談でも「宅建なんて独学だけで合格できる!」とは言えません。十数万円というお金よりも,1年間という時間の方が,私には大切に思えます。
ということは,予備校選びの視点は,短期間で合格できる最低限の法律知識と,出題傾向と,勉強方法についての,有用な情報を提供できる学校なのかどうかです。
このような予備校を日本にある多くの予備校の中から選び出すのは,実はとても大変なことです。というのは,いくら良い情報を持っている予備校でも,それを伝える講師のレベルが低ければ,せっかくの情報も宝の持ち腐れとなってしまうからです。この講師については次の箇所でお話しします。
私の知っている限り,日本不動産学院,LEC東京リーガルマインドの持っている情報力は日本でも5本の指に入ります。
予備校がどんなに合格情報をもっていても,教壇に立つ講師のレベルが低ければ,どぶにお金を捨てたのと同じです。
実名はあげられませんが,出版されている宅建教材(行政書士などにも多い)に書かれている内容で,明らかに間違っている箇所が多く見られます。大学・大学院で専門的に法律学を研究した私から見れば,あきらかに法律を知らない人が,市販されている基本書などを参考にして,まとめた宅建教材が多い。
まず,そのような教科書を出版している予備校には,人気だけの中身のない講師がいると思って間違いない。
最近の法律系資格試験は,昔のように丸暗記だけでは合格できないような良問が多くなってきているので,そのような講師に学ぶことは,残念ながら不幸としかいいようがない。これは医者選びと似ていて,素人には見分けがつかないという難点がある。もちろん,その講師もその講師を雇っている予備校も,本当のことは言ってくれないし,言うだけの能力をもっている人も少ないのが現状なのです。
法律の条文や判例は,言葉に歴史と方向性を含ませて,論理明解に書かれています。極端な話し,句読点ひとつにも意味があります。その句読点を省略して教科書に書くことで,まったく意味が変わることさえあります。私が某司法試験予備校(日本で3本の指に入る予備校です)で,司法試験論文試験用の教材を作成していた頃,そのような間違いをい |