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権利関係13回目
賃貸借・借地借家法


賃貸借(借家)

1 賃貸借契約とは

賃貸借契約とは

賃貸借契約とは,「賃」料を支払って,者の「貸」し「借」りをする契約です。ちなみに,賃料を支払わず目的物を貸すことは使用貸借契約と呼ばれます。

宅建試験では不動産の賃貸借契約について出題されます。不動産賃貸借は普通の賃貸借(レンタカー,貸しDVDなど)と比べて,住居という社会的にに重要な機能を果たしています。そこで法律は,本来たんなる契約上の債権である賃借権を所有権などの物権と同様の効力を与えるという方法で,不動産賃借人の保護を図っています。特に,借地借家法という特別法を定め,その趣旨を徹底しています。


2 建物の賃貸借の存続期間

借家権は,借地権と異なり,存続期間についての制限がありません。賃貸人(大家さん)と借家人の合意で2年としてもよいし,10年としてもかまいません。民法の建物賃貸借のように20年という上限もないので,30年という期間を定めることもできます。また,期間を定めなかった場合は,「期間の定めがない借家権」として取り扱われるだけです。なお,1年未満の期間を定めた場合には期間の定めがない借家権とみなされます。
 したがって,借家権には,「期間の定めがある建物賃貸借」と「期間の定めがない建物賃貸借」の2種類あるということになります。この違いは,次の契約の更新と解約の手続の違いとして現われます。

少し応用 民法における賃貸借の存続期
  • 賃貸借の存続期間は20年を超えることができません。20年より長い期間の定めをしたときは,その期間は20年に短縮されます。
  • 民法では,最短期間については制限されていません。


3 建物賃貸借の更新と解約

(1)建物賃貸借に期間の定めがある場合

建物賃貸借に期間の定めがある場合は,賃貸人も借家人も,その期間中解約の申し入れができません。借家権を消滅させるための申し入れ(更新拒絶)ができるのは,契約満了前1年から6ヶ月の間に限られます。この期間内に借家人に対して更新拒絶の意思表示をし,かつ,更新を拒絶する「正当の事由」がある場合に限って,建物賃貸借は期間満了によって消滅します。ただし,更新拒絶の意思表示を期間内に行っていても,契約期間満了時に借家人が使用収益を続けているのを放置すると(遅滞なく異議を述べないと),契約は更新されてしまいます。

(2)建物賃貸借の存続期間の定めがない場合

存続期間に定めがない場合には,賃貸人・借家人のいずれかが解約の申し入れをしない限り借家契約はいつまでも続くことになります。したがって,期間の定めがあったときのように「更新」という問題は生じません。当事者の「解約の申し入れ」が問題となります。
 賃貸人が解約申し入れをする場合,いつ行うかは自由ですが,解約するには正当の事由がなければなりません。また,解約の効果は申し入れから6ヶ月が経過した時にはじめて生じます。つまり,出て行けといっても,6ヶ月間は居座れるということです。さらに,借家人が6ヶ月経っても立ち退かなかった場合,賃貸人がそれに対して遅滞なく異議を述べないと,6ヶ月前に行った解約申し入れは効力を失います。この場合には,賃貸人はまたあらためて解約の申し入れから行って,6ヶ月間待たなければなりません。


少し応用 正当事由の判断
  • 賃貸人による更新拒絶の通知には,「正当事由」が必要である。正当事由の有無の判断は,@建物賃貸人および賃借人(転借人を含む)が建物の使用を必要とする事情,A建物賃貸借に関する従前の経過,B建物の利用状況と現況,C建物賃貸人が建物の明渡しの条件としてまたはそれと引換えに賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合のその申出,を考慮しなければならない。

少し応用 賃借人側からの更新拒絶・解約申し入れ
《期間の定めがある建物賃貸借》
  • 契約期間中は,賃借人といえども勝手に解約の申入れをすることはできない。一方的に立ち退いたとしても,残存期間の賃料支払義務がなくなることにはならない。ただ,実務では,賃貸人が解約に応ずることが多い。その場合は,合意解約がなされたとみるべきであり,賃借人に解約の自由があるわけではない。
《期間の定めがない建物賃貸借》
  • 貸人と同様に,賃借人の側からでも,いつでも解約の申入れができる。その場合,正当事由を必要としない。
  • 解約の効果は,申し入れから3ヶ月が経過した時に生じる(民法が適用される)。したがって,申し入れ後直ちに立ち退いた場合でも3ヶ月間の賃料支払義務は残る。

(3)定期建物賃貸借等

借地借家法には,正当事由によって借家人が保護される建物賃貸借とは別に,あらかじめ定められた期間が経過するだけで終了する建物賃貸借の制度が3つあります。

1.定期建物賃貸借(定期借家)
これは,契約で定めた期間の満了によって確定的に終了し,更新がない契約です。契約期間には制限がなく,1年未満でも20年を超える契約でも有効です(ただし,期間を定めないという方法は認められていません)。ただ,@定期借家契約の締結は公正証書等の書面で行い,かつ,A賃貸人は借家人に対して,期間の満了をもって賃貸借が終了し,契約の更新がない旨を明記した書面を交付して説明しなければなりません。説明を怠った場合は,契約の更新がない旨の定めは無効となります。

2.取壊し予定の建物の賃貸借
 法令(都市計画法,土地区画整理法,土地収用法など)または契約によって一定の期間の経過後に取り壊すことが予定されている建物について賃貸借をする場合には,取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができます。この特約は,建物を取り壊すべき事由を記載した書面で行わなければなりません。

3.一時使用目的の借家権
 借家の目的が一時的な性格のものである場合には,借家権の存続期間,更新,解約申入れ等に関する規定の適用がありません。ただし,対抗要件,借賃の改定等については借地借家法の適用があります。


4 建物賃貸借の第三者対抗力

建物賃貸借の第三者対抗力

あなたがAが所有する建物を借りて住んでいたとしましょう。Aがお金に困って,その建物をCに売ってしまった場合,あなたは新しい建物所有者のCに対して,これまで通り建物を借りるという権利を主張できるでしょうか。
 こういった問題を,賃借権の第三者対抗力といいます。

 ちなみに,賃貸人が賃貸物件を売る際,借家人の同意を得る必要はありません。
 理論的には,賃借人は借家人と契約を結んだのであり,建物を賃貸人から購入した人(建物譲受人)と建物賃貸借契約を結んではいません。したがって,借家人は,建物譲受人に対して,借りるという権利(賃借権)を主張することはできないはずです。つまり,建物譲受人から出て行けと言われたら,出て行かなければならなくなります。
 しかし,これではあまりに借家人の立場が不安定になり,その保護に欠けることになります。そこで,借地借家法では,借家権は,借家人が建物の引渡し(たとえば,実際にその建物を使用すること)を受けていれば第三者対抗力が認められるとして借家人の保護を図っています。

少し応用 民法における不動産賃借人の第三者対抗力など
  • 民法では,不動産賃借権自体を登記することで,第三者に対抗することができる旨定められている。ただ,不動産賃借権という権利自体を登記するには,賃貸人の同意が必要となるので,実社会では不動産賃借人の保護という目的ではあまり利用されていない。
  • 賃借人が賃借権の登記をしている場合において,その後にその賃借目的物である不動産を譲り受けた者は,賃借人の承諾がなくても,賃貸人となることができる。
  • ただし,その譲受人は,土地についての所有権移転登記を受けていなければ,賃借人に賃料を請求できない。


4 造作買取請求権

借家人は,賃貸人の同意を得て,建物に備え付けた建具・畳その他の造作を,契約の終了時に賃貸人に時価で買い取らせることができます。たとえば,賃貸人の承諾を得てエアコンを設置した借家人は,立ち退きにあたってその買取りを求めることができるわけです。
 ただし,この造作買取請求権は,当事者の特約によって排除することができます。

少し応用 民法における賃借人の権利・義務
  • 造作のように独立した物であって,賃借人の所有に属する物は,買取請求の対象になるが,同じく費用を投じた場合でも屋根を修繕したとか壁紙を張り替えたというように独立した形を残していない場合には,それらはすでに建物の一部として賃貸人の所有になっているので,買取請求ではなく,費用の償還請求という方法で返還してもらうことになる。
  • 本来,賃借人が賃借物を使用する上で必要な修繕義務は,賃貸人が負っている(定期的な水道工事など)。そこで,賃借人が費用を支出した場合でも,賃貸人が本来負担すべき必要費を支出したときは,賃貸人に対して直ちに償還を請求できます。
  • これに対して,屋根を改良した場合のように,必要費以外の有益費を支出したときは,契約終了のときその効果が残っている場合に限ってその償還を請求することができる。
賃借人の権利義務
  • 修繕を賃貸人に請求する権利
  • 必要費を賃貸人に「直ちに」償還請求できる権利
  • 有益費を賃貸人に「賃貸借契約終了時に」償還請求できる権利※
  • 目的物の一部滅失による賃料の減額請求権
  • 目的物の保存に必要な行為を受け入れる義務
※賃借人が有益費を支出した場合,賃貸借終了の時において,目的物の価格が現存している場合に限り,賃貸人は,支出された費用または増加額のいずれかを選択して,賃借人に支払わなければならない。



5 建物転貸・賃借権の譲渡

(1)  建物転貸・賃借権の譲渡の要件

賃貸人から借りた大事な財産を第三者に貸したり(転貸),借りる権利を第三者に譲ったり(賃借権の譲渡)するには,賃貸人の承諾が必要です。
 ちなみに,借地上の建物を譲渡する場合には,原則として賃貸人の承諾が必要ですが,借地上の建物を賃貸する場合には,土地賃貸人(借地権設定者)の承諾は不要です。
 建物は土地に付着しているものなので,建物だけを売っても意味がありません。ヤドカリのように建物をかついで持ってかえるわけにはいきません。借地上の建物を売る以上,土地を借りるという権利(賃借権)も譲渡しなければならないわけです。だから,借地上の建物を譲渡する場合は,必然的に土地賃貸人の承諾が必要となるのです(ただ例外はあります。借地の章で学びます)。
 それに対して,借地上の建物を賃貸しても,土地を借りるという権利自体を譲渡する必要はありません。また,土地を転貸しているわけでもありません。自分の建物を人に貸しただけです。だから,借地上の自分の建物を人に貸す場合は土地賃貸人の承諾などいらないのです。

(2) 転貸・賃借権の譲渡の効果

賃貸人の承諾を得て建物を第三者に転貸した場合は,賃貸人と借家人の間の賃貸借と,借家人(=転貸人)と転借人の間の転貸借の二重の関係が生まれます。法律上は,賃貸人と転借人との間にも直接の権利義務関係が生まれます。
 まず,賃貸人は,借家人に対して請求することができる範囲内で転借人に対して転借料の直接に賃貸人に支払えと請求できます。たとえば,賃貸人が借家人に月に10万円で貸していて,借家人がそれを転借人に15万円で転貸していたような場合,賃貸人は10万円までなら直接転借人に賃料を請求できるわけです。この場合,転借人は転借料を借家人にすでに前払いしてあると主張してその支払いを免れることができません。
 つぎに,建物賃貸借契約が期間満了または解約申入れによって終了する場合は,賃貸人は,転借人に対しそのことを通知しないと,転借人に対抗できません。そして,賃貸人がその通知をしたときは,転貸借は,その通知後6カ月を経過すると終了します。
 さらに,建物の転貸借がされている場合において,建物の賃貸借が賃貸人と借家人との合意解除により終了したときは,原則として賃貸人は転借人に対してこの合意解除の効果を対抗することができません 最後に,建物の賃貸借が借家人の債務不履行を理由に解除されたときは,原則通り,転貸借契約も終了します。

(3) 無断転貸・賃借権の譲渡の効果

 賃借人が,賃貸人に無断で転貸・譲渡をし,第三者が使用または収益をしたときは,賃貸人は,原則として,賃貸借契約を解除することができます。その際,催告などは不要です。また,賃貸人は借家契約の期間の定めや正当事由の有無とかかわりなく解除できます。
 ただし,賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に目的物を使用・収益させた場合でも,その行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは,解除することができません。

6 敷金

(1) 敷金とは

敷金とは,賃貸借契約が成立してから,契約終了後目的物の返還までに賃貸人がその契約に関して賃借人に対して取得する一切の債権を担保するために渡される金銭をいいます。
 宅建試験では,賃借権譲渡と賃貸人の変更での敷金返還請求権の行方,建物明渡と敷金返還請求権との履行関係がよく出題されています。

(2) 敷金返還請求権と賃貸人の変更

 不動産の譲渡に伴って賃貸人の地位が移転した場合には,敷金に関する権利義務も承継され,賃借人は新賃貸人に対して敷金の返還を請求できます。簡単に言えば,大家さん(賃貸人)が途中でかわった場合で,賃貸借契約を解除して敷金を返してもらいたいときは,以前の大家さんを探し出す必要はなく,解除したときの大家さんに敷金返還請求ができるということです。

(3) 敷金返還請求権と賃借権の譲渡

 賃借権が譲渡された場合,敷金に関する権利義務は,原則として新賃借人に承継されません。したがって,譲渡人が,賃貸人に対して敷金の返還を請求できます。簡単に言えば,大家さん(賃貸人)の承諾を得て,自分が借りているアパートの一室を友人に譲渡するような場合(賃借権の譲渡),その友人に敷金返還請求権が当然に移転することはないという意味です。自分で預けた敷金は自分で返還請求できると言っているわけです。

7.家賃の増減額請求

(1) 趣旨

賃貸借契約は契約である以上契約当事者はその契約内容に拘束されるのが原則です。家賃10万円で3年間の借家契約を締結した場合,両当事者はこの契約内容を守る義務があります。
 しかし,借賃額などは,契約締結時における地価,固定資産税,都市計画税などの税金,近隣にある同規模の借地価格などの事情を考慮して決定されているのが通常です。したがって,契約期間中にこれらの事情が変わってしまうと,約定借賃と適正借賃との間に不均衡が生じる場合があります。また,借地借家法上,賃借人の利益が厚く保護されており,賃貸期間は長期にわたる場合も多いでしょう。しかし,だからといって,実体にそぐわない現状をそのままにしておかなければならないとすることは,各当事者にとって多大な不利益を被らせる結果となります。
 このような必要性のもと,借地借家法は,一定の要件を具備した場合に限って,契約当事者に借賃の増減を請求する権利を認めています。これを,借賃増減額請求権といいます。

(2) 要件


(3) 効果


8.借家権の相続

居住用建物の賃借人が死亡して相続人がいない場合は,婚姻届(または,縁組届)を出していないが,事実上夫婦(または,養親子)と同様の関係にあった同居者が,賃借人の権利・義務を承継します。
 ただし,同居者が,建物賃借人が相続人なく死亡したことを知った時から1カ月以内に,賃貸人に対して承継をしない旨の意思を表示すれば,承継は起こりません。
 また,同居者が賃借人の権利・義務を承継しない旨の特約は有効です。



賃貸借(借地)




 賃貸借については,毎年2〜3問出題されています。借地借家法からは借家から1問,借地から1問,ほぼかならず毎年出題されています。ぜひとも得点源にしなければなりません。
 出題される内容は偏っています。存続期間,更新,解約の申込み,第三者対抗力,造作・建物買取請求権の場面とその要件は,最低限常識レベルにしておきましょう。
 借賃の増減額の手続についても,最近何度か出題されているので,その要件と手続もしっかりと勉強しておきましょう。



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