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権利関係11回目
連帯債務 保証


1 連帯債務・保証

債権の担保全体像

人的担保の典型例は保証です。債権者が担保しようとして有している債権を被担保債権(これを債務者の側からみて「主たる債務」と呼ぶことがある),その債務者を主債務者とよびます。保証人とは,主債務者が債務を弁済しない場合に代わりに全額責任を負う人のことをいいます。

保証債務とは,他人がその債務を履行しない場合に,その債務を他人に代わって履行すべき保証人の債務をいいます(446条)。
 これは,本来,債権は債権者から債務者に対してのみ履行を請求できないところを,債務者以外の者に対しても請求できるようにしておくことで,債権回収を確実にする手段です。

(1)保証

①保証債務の成立要件

 第1に,保証債務は債権者と保証人との間の保証契約によって成立します。
 この場合の保証契約はあくまでも債権者と保証人との間の契約となり,主たる債務者と保証人との間の委任契約の影響を受けることはありません。

 Aは長く勤めた会社を辞めて,街で喫茶店を経営することを企画し,B信用金庫から500万円の借入れを考えていた。企画書とキャッシュフローの甘さを感じたBは,Aに対して保証人を付けるように要求した。そこで,Aは気前の良い友人Cに,保証人になってくれるように頼み,「絶対迷惑かけないから,ちょっとここにサインするだけでいいから」と言って,消費貸借契約書の保証人欄にCのサインと印鑑を押させた。もともと商売とは縁がなかったAは,案の定半年後には経営が行き詰まり,あろうことか,夜逃げしてしまった。債権者Bが保証人Cに対して,保証債務の履行を迫った場合,CはAによる詐欺を理由に,Bへの弁済を拒否することができるでしょうか。
保証債務の性質 別個独立性 主たる債務者が保証人をだまして保証債務を負担させたような場合,債権者にとってみれば,これは第三者の詐欺になるにすぎないため,債権者が悪意でない限り,保証人は債権者に対して保証債務を取り消すことはできなくなります(96条2項)。
 特に,保証人が保証債務を負担する場合,債務者の資力や他に保証人がいることなどを誤信して保証人となってしまった場合,動機の錯誤など様々な問題が生じます。
 第2に,主たる債務者が保証人を立てる義務を負う場合には,保証人は,①行為能力者であり,かつ,②弁済の資力を有する者でなければなりません。保証人が上の②の条件を欠くに至った場合には,債権者は,②の条件を備える者に保証人を代えるよう請求することができます。
 ただ,債権者が保証人を指名した場合はこの限りではありません。
 第3に,保証債務が有効に成立するためには,附従性という観点から,主債務が有効に成立していなければなりません。
 第4に,平成16年の改正により,保証人が過大な責任を負いがちな保証契約(特に根保証契約)についてその契約内容を適正化するため,書面によらない保証契約は無効になります。

②保証債務の効力

《債権者の保証人に対する権利》
 債権者が保証人に対してどのような請求をすることができるかというのは,保証債務の附従性と保証契約によって決まります。
 保証債務の範囲は特約のない限り,元本のほか,原則として利息,違約金,損害賠償,その他すべてその債務に従たるものを含みます(447条1項)。また,保証債務についてのみ,その履行を確実にするために違約金や損害賠償の予定をすることもできます(447条2項)。

《原状回復義務と保証人》
 Aは老舗の畳販売店を営んでいた。しかし,最近は洋風建築の波におされ売上は落ち込む一方であった。あるとき,ある料亭Bから100畳の畳の販売依頼が入り,即日売買契約を交わし,代金300万円全額を受領した。その際,売主Aを保証する保証人としてCも,その契約書にサインした。しかし,売買契約を交わした後すぐ,Aの債権者がやってきて,その300万円を持って行ってしまい,AはBに販売する畳を仕入れることができなくなった。4ヶ月後,BはAに対して債務不意履行に基づく契約解除と,原状回復義務に基づく代金300万円および遅延利息を請求し,さらに保証人Cに対しても同様の請求を行った。保証人Cはこれに応じる義務があるでしょうか。
最大判昭和40年6月30日の図,契約解除と保証債務 保証債務が,主たる債務が解除された場合に生じる原状回復義務や損害賠償義務まで保証するかどうかという点については争いがあります。
 なぜ論点になるのかといえば,判例・通説は,契約の解除の性質について,はじめからなかったことにする考え(遡及効)を採用しておりました。したがって,理屈をこねれば,主たる債務者と債権者との間の売買契約が解除された以上,はじめから代金支払債務も目的物引渡債務も発生していなかったことになります。そして,主債務は発生しなかった以上,それを保証する保証債務も附従生により発生していなかったとなるのです。しかし,これでは結果の妥当性がはかれないので,この原則を修正する必要があるのです。ここに論点が生じます。
 判例は,原状回復義務も損害賠償義務も負うとしています(最大判昭和40年6月30日)。その理由は,保証人は,通常はその契約当事者として,主債務者が負担する一切の債務を保証し,その契約の不履行によって債権者に損失を被らせない趣旨で保証人となっていると解釈すべきであるからです。
 そして,「特に反対の意思表示のないかぎり,売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当する」とも判示しております。
 ですから,判例は,契約書の特約などで,「保証人は原状回復義務については保証の範囲外です」等を明記していない場合は,保証したと推定することにしているのでしょう。

《主たる債務者または保証人について生じた事由の効力》
 まず,主たる債務者について生じた事由の効力が保証人に及ぶかという問題については,原則として主たる債務者について生じた事由の効力はことごとく保証人に及ぶと解されています。その理由は附従性です。
 したがって,主債務が弁済によって消滅すれば保証債務も消滅します。また,主たる債務の時効が中断すれば保証債務の時効も中断し,主たる債務者に債権譲渡の通知をすれば保証人に対してもそれを対抗できます。
 次に,保証人について生じた事由の効力が主たる債務者に対して生じるかという問題については,主たる債務を消滅させる行為(弁済・代物弁済・供託・相殺・更改など)などは影響を及ぼすが,それ以外は及ぼさないと解されています。

《保証人の求償権》
 保証人は主たる債務者に代わって弁済するのですから,本来自分の負担部分はなく,100%主たる債務者が最終的には負担すべきものになります。したがって,保証人が主たる債務者に代わって弁済したときには,主たる債務者に対して求償権をもつことになります(459条~464条)。


(2)連帯債務・連帯保証その他

①共同保証

共同保証 同一の主たる債務者について,数人の保証がある場合を共同保証といます。このように,保証人が複数いる場合は,原則として各保証人は主たる債務額を全保証人に均分した部分についてのみ保証することになります。つまり,保証人の数だけ頭割りになるということです。
 右の図のように,Aという主たる債務者(100万円)について,CとDが保証人となったとすると,C・Dはそれぞれ50万円ずつ保証債務を負担することになります。
 このように,保証債務の額が人数分の頭割りになってしまうことを分別の利益といいます(456条)。

②継続的保証

 融資に関する根保証契約を締結した個人の保証人を保護するため,平成16年の民法改正により次の制度が創設されました。
 極度額の定めのない根保証契約を無効としています。
 根保証をした保証人は,元本確定期日までの間に行われた融資に限って保証債務を負担することとしています。この元本確定期日は,契約で定める場合には契約日から5年以内,契約で定めていない場合には契約日から3年後の日となります。
 主たる債務者や保証人が,強制執行を受けた場合,破産手続開始の決定を受けた場合,死亡した場合には,根保証をした保証人は,その後に行われた融資については保証債務を負担しないこととしています。
 根保証契約を含む保証契約は,契約書などの書面によってしなければ無効になります。

③連帯保証

 連帯保証とは,保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担する場合をいいます。通常との保証と何が違うのかという観点で理解すると覚えやすいです。
  • 補充性がないこと。
  • 分別の利益がないこと。
  • 主たる債務者,保証人の一方について生じた事由の効力について,連帯債務の規定を準用すること。
 以上の3点について,保証と連帯保証が異なります。

《連帯債務・保証債務・連帯保証債務のまとめ》

 

対外的効力

一人につき生じた事由

内部関係

連帯債務

債権者は,1人または数人に対して同時または順次に全部の履行を請求することができる

原則 無影響

例外 履行・請求・更改・相殺・混同・免除・時効は絶対効

支払等をした債務者は,その負担割合に応じて,他の債務者に求償することができる

保証債務

保証人には,催告および検索の抗弁権がある

主たる債務者に生じた事由

保証人に生じた事由

保証人もしくは連帯保証人が弁済した場合には,主たる債務者に求償することができる

原則として附従性により保証人に及ぶ

原則 無影響

例外 弁済(履行・相殺)は絶対効

連帯保証

連帯保証人には,催告および検索の抗弁権がない

履行・請求・更改・相殺・混同は絶対効

※連帯債務についての深い理解は「連帯債務のお話し」を参照してください。

2 共有

(1)共有とは

 Aは老舗の畳販売店を営んでいた。しかし,最近は洋風建築の波におされ売上は落ち込む一方であった。あるとき,ある料亭Bから100畳の畳の販売依頼が入り,即日売買契約を交わし,代金300万円全額を受領した。その際,売主Aを保証する保証人としてCも,その契約書にサインした。しかし,売買契約を交わした後すぐ,Aの債権者がやってきて,その300万円を持って行ってしまい,AはBに販売する畳を仕入れることができなくなった。4ヶ月後,BはAに対して債務不意履行に基づく契約解除と,原状回復義務に基づく代金300万円および遅延利息を請求し,さらに保証人Cに対しても同様の請求を行った。保証人Cはこれに応じる義務があるでしょうか。
共同共有の形態 権利能力なき社団としての要件を満たした「民法研究会」なる団体があったとします。この団体が所属員の勉強のために模範六法を10冊購入した。さて,その研究会に所属していたA君はめでたく司法試験に合格した。会費をちゃんと払っていたA君は脱退するとき,研究会にある模範六法をもらっていけるのでしょうか。
 民法上,所有の形態には①共有②合有③総有の3種類あります。
 共有というのは,具体的な持分が認められるものです(249条)。この場合は,A君の主張は認められることになります。
 合有というのは,潜在的な持分というものはあるけれども,具体的な持分が認められないような共同所有をいいます。民法上の組合などがこれにあたります。潜在的な持分があるというのは,脱退して組合を出て行くときに持分の払い戻しが認められるということです。ですから,勝手に自分の持分を人に譲り渡したり,分割請求などは認められません。この場合,A君の主張は認められません。組合費などの払い戻しだけが認められる程度でしょう。
 総有というのは,潜在的な持分すらない共同所有形態をいいます。みんなで所有しているのだけれども,持分がないのです。つまり,みんなで使うことだけができて,それを処分することができません。この場合は,A君の主張は認められないことになります。

(2)共有物の使用・持分

①各共有者は,共有物の全部につき,その持分に応じた使用をすることができる。
②各共有者の持分は,平等と推定される。
③共有者の1人が相続人なくして死亡し特別縁故者に対する財産分与もなされない場合,または,共有者の1人が持分を放棄した場合には,その持分は他の共有者に帰属する。
④共有者が自己の持分を処分するには,他の共有者の同意を得る必要はない。

(3)共有物の管理等

 

具体例

どのように行うか

保存行為

·  共有物の修繕を頼むこと

·  不法占拠者へ明け渡しを請求すること

各共有者は1人でできる

管理行為

·  共有物を第三者に貸すこと

·  共有物の賃貸借契約を解除すること

·  共有物の利用者を決めること

·  各共有者の持分価格の過半数の賛成で行う

·  管理の費用は,持分に応じて各共有者が負担する

 

変更行為

·  共有物を第三者に売り渡すこと

·  建物の建替え,増改築

共有者の全員の同意が必要である


(4)共有物の分割請求

①各共有者は,いつでも共有物の分割を請求することができる。
②ただし,共有者が5年を超えない期間内は共有物の分割をしない旨の契約をすることはできる。
③②の契約は,更新することができる。ただし,その期間は,更新の時から5年を超えることができない。
④共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは,その分割を裁判所に請求することができる。


 保証・連帯債務は過去に何度も出題されているとても重要なところです。さらに,出題された場合の難易度も,ある一定の知識を理解し暗記していれば解けるものばかりです。ここは是非とも得点源にしてもらいたい。
 共有については,過去10年レベルでは3回程度の出題しかありませんが,出題されたときは非常に簡単な知識を問うものなので,ここも得点源にしなければなりません。



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