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権利関係14回目
不法行為・請負・委任・債権譲渡
1.不法行為とは A
不法行為とは,他人の権利・利益を違法に侵害して損害を加える行為をいいます。不法行為が行われることによって,金銭賠償を請求する債権の発生が認められる。不法行為も契約と同じく債権発生原因の1つということです。
その趣旨は,①被害者の救済(損害の補填)と②将来の不法行為の抑止です。
不法行為にはいろいろな種類があります。ただ,宅建試験では,一般不法行為,使用者責任,共同不法行為,工作物責任からの出題がほとんどです。以下,これらについてのみ説明します。
2.一般不法行為 A
(1) 一般不法行為の成立要件 B
一般不法行為の要件は,①加害者に故意または過失があること,②加害者に責任能力があること,③被害者の権利等が侵害されたこと,④被害者に損害が発生したこと,⑤加害行為と被害に因果関係があること,です。
(2) 一般不法行為の効果 A
不法行為が成立すると,被害者はその損害賠償を加害者側に請求することができます。
被害者側にも過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を定めることができます(裁判官の裁量)。しなければならない,となっていない点が重要です。被害者救済の趣旨がその理由です。また,全額免除することはできません。
不法行為に基づく損害賠償請求権を受働債権として,それ以外の債権を自働債権とする相殺は禁止されています。ただし,不法行為に基づく損害賠償債権を 自働債権とし,不法行為による損害賠償債権以外の債権を受働債権として相殺することは禁止されません。簡単に言えば,加害者側から相殺の主張ができないということです。これも被害者救済がその理由となっています。
不法行為による損害賠償義務は,不法行為のときから遅滞になる。不法行為による損害賠償請求権は,被害者が請求しなければそもそも発生しないものなので,期限の定めのない債権となります。ですから,本来ならば請求したときから遅滞責任を負うはずです。しかし,ここでも被害者救済の趣旨から,請求時ではなく不法行為時から履行遅滞責任つまり利息が発生することになっています。
不法行為による損害賠償請求権は,被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも同様です。これは,時間の経過により責任の有無や損害額の立証や確定が困難となることを理由とします。ちなみに,20年の方は除斥期間と呼ばれ,消滅時効のように中断できない期間とされています。
3.使用者責任 A
使用者責任とは,たとえば,会社の従業員などが事業の執行に際して故意または過失によって他人に被害を被らせた場合の,会社が責任を負う責任をいいます。法律上は,従業員を雇っている会社などを使用者とよび,雇われている従業員などを被用者と呼びます。
本来ならば,不法行為を行ったのは被用者個人なので,被用者のみが不法行為責任を負うはずです。しかし,使用者は被用者の活動によりその事業範囲を拡大し,利益を上げていることから,それによる損失も負担すべきであるという発想(報償責任の原理)から,使用者側にも賠償責任を負わせています。簡単にいえば,会社は従業員をつかって利益を得ているのだから,損した場合も責任を負いなさいというわけです。
この使用者責任が成立するためには,①使用者と被用者に使用関係があること,②被用者による加害が「事業の執行について」なされたこと,③被用者が不法行為の一般的成立要件を備えていること,④使用者に免責事由がないこと,の要件を充たす必要があります。
事業の執行についてなされたという要件は,客観的に行為の外形を標準とします。たとえば,タクシー会社の従業員が休日に運転していても,客観的には事業の執行中に見えてしまいます。こういった場合でも,使用者は責任を負う可能性があるということです。
また,「使用者に免責事由がない」とは,使用者が,被用者の選任・監督につき相当の注意をしたこと,または相当の注意をしても損害が生じたことを証明すれば,使用者責任を負わないということを意味します。
4.共同不法行為 C
複数の宅建業者が共同してお客からお金をだまし取った場合などにつかわれるものです。被害者は,不法行為に加担した者は連帯して被害者に損害賠償の責任を負います(連帯債務とほぼ同様の関係)。これは,被害者の責任追及を容易にすることによって被害者救済を厚くすることを目的とした制度です。
5.工作物責任 A
工作物責任とは,建物などの土地の工作物の設置・保存に問題があって他人に損害を被らせてしまった場合の責任をいいます。
たとえば,ビルの側面のタイルが老朽化してはがれ落ちてしまって,歩行者に損害を与えてしまったような場合です。
このような場合,まずは工作物を占有する者(賃借人など)が責任を負います(過失責任)。次に,占有者に過失がない場合は,所有者が責任を負います(無過失責任)
工作物責任の趣旨は,他人に損害を生ぜしめるかもしれない危険性をもった瑕疵ある工作物を支配している以上は,その危険が実現した場合にはその責任を負うべきであるとする危険責任の法理にあります。
請負契約
1.請負契約とは B
請負契約とは,当事者の一方がある仕事を完成させることを約束し,他方がこれに対して報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。たとえば,大工が建築の依頼を受けて建物を建てて引き渡すなどが典型例です。仕事を依頼する側を注文者,仕事を請ける側を請負人と呼びます。
請負契約を理解する上でとても重要な点は,仕事の完成に対して報酬が支払われるというところです。請負契約に似ている契約として委任契約や雇用契約がありますが,これらはたとえ結果がでなくても報酬を請求できます。請負契約の場合は,「すみません。頑張って家を作ってみようとしたのですが,力不足でできませんでした」では報酬はもらえないということです。
このような性質上,請負契約は,売買契約に似ています。完成した物に対して報酬が支払われるからです。ですから,請負の目的物の引渡しと報酬の支払いは同時履行の関係に立ちます。
2.請負人の担保責任 B
請負契約は,完成した目的物の引渡しに対して報酬が支払われることから,売買契約に似ています。そこで,売買契約のときと同じように,担保責任が発生します。ただ,請負人は自ら引き渡す目的物を製作している点で,売主と大きくことなります。この特徴から,売主の担保責任とは多少異なる責任となっています。
売主の担保責任とどこが違うのかを意識して勉強すると効率がよいでしょう。
委任契約
1.委任契約とは B
委任契約とは,特定の不動産の売却・賃貸とか訴訟事件の処理などの一定の事務を処理するための統一的な仕事を依頼する契約です。仕事を依頼する側を委任者,依頼を受けて仕事をする側を受任者と呼びます。
受任者は,自己の知識・経験・才能などをフル活動し,多少の裁量権を行使して事務を処理するため,受任者には本質的に自主性が要請されます。
すでに勉強した代理を思い出すと,委任は理解しやすくなります。代理権を与える契約のほとんどがこの委任契約によります。ですから,その根底には高度の信頼関係があることが重要です。ですから,委任契約における当事者の立場は相続しません。
また,請負契約と違って,仕事の完成・引渡に対して報酬を支払うという関係でないという点も重要です。不動産売却の依頼を受けたが売れなかった,訴訟の依頼を受けたが敗訴した,といった場合でも,受任者は依頼者に対して報酬を請求することができます(報酬を支払う特約があった場合)。
また,これは少し実務感覚から外れるのですが,法律上の委任契約の規定は,無報酬が原則となっています。もちろん,契約で特に報酬を支払うと約束すれば,報酬を請求することができるので問題ないのですが,法律上では無報酬が原則である点には注意しましょう。
さらに,たとえ無報酬が原則であったからといって,受任者は受けた仕事をいいかげんに行ってよいとはなっておりません。報酬の有無に限らず,受任者は忠実に職務を遂行する義務を負います。これを法律用語で,善管注意義務と呼びます。
不法行為からは過去10年間で7回程度の出題率です。出題されるところも限られており,ぜひとも得点源にしたいところです。過去のデータから,不法行為の出題は,一般不法行為の基本的なルール(時効,相殺禁止など),使用者責任(被用者に不法行為の要件がなければ使用者責任も成立しない点は頻出,使用者と被用者が連帯債務と似た関係になる点,使用者が被用者に相当な範囲で求償できる点なども頻出),工作物責任の3点を勉強しておけば,大丈夫です。
請負・委任のことからも,過去10年間で3回程度の出題です。基本的なところを聞いている場合も多いので,みんなが知っているところは最低限暗記しておかなければなりません。
請負に関しては,土地の工作物の特則,同時履行の関係にあること,所有権の移転時期に関する判例は,しっかりとおぼえよう!
委任に関しては,無報酬が原則であること,無報酬でも善管注意義務をおうこと,仕事と報酬が同時履行になっていないこと,一方的な解除が認められていること,などが頻出分野です。
債権譲渡は,それだけで一問出るパターンは少ないが,債権譲渡のルールを知っておけば,他の問題でも役立つ場合がおおい。保証・抵当権・根抵当権などの理解で随伴性なるものを勉強する際に債権譲渡のルールがわかっているととても便利だったりします。ただ,深い入りには注意かな。 |
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