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《サンプル講義一覧》
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大学ではふつう刑事訴訟法の勉強は3年生か4年生で勉強します。一通り実体法の勉強が終った後に,手続法を学んだ方が,理解しやすいから,というのがその理由です。ですから,ある程度法律をマスターした人を対象に講義が進むこともあって,一般に大学の講義ははじめから高度なものとなります。また,刑事訴訟法は,まさに刑法の実現,さらには国家権力の発動を抑えることもその目的のひとつとなっていることから,憲法で学んだ人権保障と密接にかかわる学問分野となり,刑法・憲法という他の分野の知識を総動員してかかる必要があり,内容はさらに高度なものとなるという性質があります。
しかし,逆に言えば,これまで勉強した知識を使って学ぶことができるわけですから,まったくゼロから学ぶリスクはなくなるわけです。つまり,刑事訴訟法を学ぶ上で重要なことは,常に憲法・刑法(特に各論)を意識することです。そうすることによって,刑事訴訟法で出てくる一見難しそうに見える理論も手に取るように理解できるようになります。
刑事訴訟法の学習でまず対象としなければならないものは,犯罪です。残念ながら私たち人類は罪を犯す危険性を潜在的に有している生き物のようです。犯罪と隣り合わせに生きなければならないのが,宿命のようです。逆に言えば,私たちの生きる社会には犯罪が蔓延しているわけですから,刑事訴訟法を学ぶ上で,少し目を移せば,勉強の素材は豊富にあることを意味します。犯罪と向き合うことは辛さもともないますが,法律家となる以上,その辛い現実から目をそむけてはいけません。法律学は机上論であってはならないのです。実学です。常に現実に目を向けてその中から理論を構築する努力をするようにしましょう。
こうした情報を収集するための方法は,まずは新聞やテレビでしょう。テレビの報道番組で刑事事件を扱わない日はないといっても過言ではありません。新聞でも社会面には必ず犯罪報道がなされています。ただ,注意を要する点があります。それは,報道は報道機関,具体的にはそれを取材した記者の観点と警察発表に基づいた犯罪の一側面に過ぎないという点です。とくに,犯罪報道は,被疑者逮捕までは華々しくテレビ・新聞を飾りますが,逮捕後のことについてはほとんど報道されません。そうとう大きな事件でないかぎり,公判,判決について報道されることはありません。犯罪の深層には動機を含めた深い背景があります。犯罪行為に至るまでの人間模様があります。たいていの犯罪は人間関係のもつれと金銭的トラブルから生じます。さらに,犯罪者各人の生まれ,経歴,心理的事情などあらゆるものが犯罪への原因となります。犯罪報道だけではその事件の真実はみえないのです。
ですから,時間があれば,一度公判を傍聴することをお勧めします。また,大きな事件であれば,事件の関係者などが記した著書も多く出版されているので,なるべく多くの視点から事件を客観的に考察するようにしましょう。すべてに対して中立であることが法律家には求められます。
刑事訴訟法は,このように犯罪と直接向き合う法律分野ですので,犯罪を抑止するという目的は当然もっています。しかし,法学入門で学んだように,私たちがおそれなければならない力は犯罪だけではありませんでした。ある意味,犯罪よりもおそれなければならない力,すなわち国家権力に向けられた抑止装置としての側面も,刑事訴訟法はもっています。被疑者の身柄を拘束し,証拠収集ために被疑者宅などを捜索することは犯罪を立証するためにはどうしても必要となります。また,刑が確定した犯罪者を刑務所に投獄したり,死刑を執行する手続も広い意味で刑事手続の一環となります。これらはすべて国家権力の発動として行います。この国家権力がもし時の権力者に濫用されたら,法の支配は崩壊します。犯罪の抑止の要望と,国家権力濫用という両側面の剣を刑事訴訟法の解釈を通じて調和させなければならないのです。ここに,高度な法原理の生ずる理由があります。
事件を一側面からのみ見ずに,客観的に捉えるとともに,国家権力から国民の自由を守り,なおかつ犯罪から善良な市民を守るために,国家権力に歯止めをかける原理が必要となるのです。ですから,法律家としての犯罪の捉え方は,この原理を常に意識した客観的な態度ということになります。
刑事訴訟法も,他の法律分野と同様に,世間から産み落とされたものであることは間違いありません。現実とかけ離れたところで,理屈のための理屈で終わっていいわけはありません。世間が変われば,法解釈もかわり,解釈で対応できなくなれば,法改正がなされます。近年においても多くの法改正がありました。一方では,犯罪から善良な市民を守るために犯罪捜査の幅を広げた改正があります。組織犯罪対策がまさにそれにあたります。他方では,これまで刑事手続から蚊帳の外に置かれていた犯罪被害者の刑事手続参加を保障した改正がありました。さらに,国民の司法手続への信頼と民主主義のさらなる発展を目的とした,陪審裁判に関する法改正がありました。
このように刑事訴訟法も他の法律分野同様,法改正情報にも注意しながら勉強しなければなりません。
刑事訴訟法は,形式的には手続法です。ですから,手続の流れを意識することがマスターする上でとても重要となります。ある程度法律の勉強が進むと,どうしても論点学習に傾倒しがちになります。とくに資格試験や大学の科目試験を目前に控えている方にとっては,論点と論証方法を暗記することに躍起になってしまいます。しかし,論点・論証だけを勉強することは,土台を作らずに家を建てるが如きです。結局は遠回りすることなります。まずは,手続の流れと全体像をしっかり理解することが結局は早く手続法をマスターすることにつながります。また,これはすべての法律分野にいえることですが,常に現実の事件を意識して勉強することが大切です。生の犯罪を意識することで新たな論点をみつけることもできます。
たとえば,刑事手続は,捜査と公判の大きく2つに分けることができます。それぞれ重要な原理・原則があります。これらは,学問上は分離しているかのように見えますが,刑事事件という共通項によって1つの流れとして存在しています。ですから,公判での原理が捜査に影響を及ぼすことが当然あります。たとえば,公判でのルールに,証拠法という分野があります。起訴された犯罪を立証するための証拠に使えるか否か,また使えたとして信用性があるか否かを定めたルールです。疑わしい証拠は,無実の犯罪者を生む根源ともなりますので,証拠から排除されます。これは公判でのルールなのですが,このルールは犯罪捜査にも波及することになります。違法な取調べや証拠収集をイメージすればわかると思います。また,公判のルールに黙秘権というものがあります。これは弾劾主義という原理から生ずる被告人の権利なのです。つまり,起訴した検察官側が犯罪を立証する責任を負いなさいというルールです。このルールも,捜査段階とくに被疑者取調べの段階に影響を及ぼします。被疑者の供述拒否権として現れます。
つまり,1つの事件を通じて,捜査段階のルールと公判段階のルールが適用されることになるので,個別に勉強することは得策ではなく,ひとつの事件について,犯罪捜査〜公判〜刑の執行を勉強することで刑事訴訟法の理解はいっきに深まることになります。
日本の大学の法学教育では,教授の研究分野・得意分野に左右され,法哲学の授業のような刑事訴訟法講義が行われています。一見華々しい捜査段階におけるルールばかり講義し,「あとは教科書を読んでおきなさい。それで十分です。」という講義もあったりします。そのような講義をする教授が教科書も書いているので,教科書もとくに流れを意識しないものが多く出版されています。私もそのような教科書で一生懸命勉強したひとりなのですが,あるとき,図書館で目にしたアメリカのロースクールで使う教材を目にして,愕然となりました。日本のいわゆる基本書にあたる教材などありません。ロースクールではすべて事件(判例)を中心に勉強が進められています。しかも,入門書は,挿絵も入れた形で,ドラマ形式に1つの事件を解決する手続が書かれておりました。6時間もあれば一通り読み終える内容でしたが,アメリカの刑事手続を一望するには最高の著書でした(中央大学図書館の開架にあります)。私は,そのときから,「日本の法学教育でこれを実現したい」という欲望と情熱にかられました。本書はこの情熱の一端を担うものです。
ですから本書は,1つの事件を中心に,流れを意識したものとなっております。また,資格試験・大学科目試験にも対応できるように,随所に論点・論証も織り込んでおります。講義とあわせて学習することで,後の論点マスターに必ず役立つ内容となっております。
では,刑事手続に足を踏み入れましょう!
| 第1章 総説 第1節 刑事訴訟法の学び方 第2節 刑事手続の概観 @ 公訴提起前 A 第一審の裁判手続 B 上訴手続 C 裁判の執行 第2章 捜査 第1節 職務質問 @ 捜査の意義 A 捜査の端緒 第2節 逮捕 @ 被疑者の身柄の保全(逮捕) 第3節 取調べ @ 在宅被疑者取調べ A 身柄拘束下の被疑者取調べ B 余罪取調べ C 参考人取調べ 第4節 物的証拠の収集 @ 総説 A 令状による証拠収集 B 令状によらない証拠収集(220条) C 承諾による証拠収集 D 科学捜査・新たな捜査方法 第5節 被疑者の勾留 @ 総説 A 勾留の要件 第6節 被疑者の勾留と弁護活動―接見交通権 @ 総説 A 弁護権 B 接見交通権 C 接見指定と弁護活動 第7節 被疑者の勾留と弁護活動―勾留理由開示 @ 勾留理由開示請求 A 勾留の取消 B 勾留の執行停止 C 準抗告(429条1項2号) D 勾留の延長 第8節 捜査の終結 @ 捜査の終結権限 A 各種の捜査終結処分 第9節 捜査段階における被害者 @ 警察における被害者保護の意義 A 警察の被害者対策の全体像 B 精神的被害の回復への支援 C 相談活動 D 経済的支援 第3章 公訴の提起 第1節 起訴 @ 検察官の事件処理 A 公訴提起の基本原則 B 訴因の特定 第2節 公判の準備手続 @ はじめに A 公判準備の手続 B 争点整理 C 保釈請求 D 事件の併合 第4章 公判 第1節 冒頭手続 @ 公判廷の構造 A 公判廷の用語 B 訴訟指揮権と法廷警察権 C 公判手続の態様 第2節 証拠調べー検察官の冒頭陳述,証拠申請など @ 公判手続の進行 第3節 証拠法 @ 証拠法総説 A 関連性 B 自白法則 C 訴因変更 ※体系上は証拠法ではありません! D 伝聞法則 E 違法収集証拠排除法則 第4節 証拠調べー情状立証 第5節 論告・弁論 @ 論告 A 弁論 第5章 裁判 第1節 裁判の意義 @ 裁判の意義と種類 A 裁判の内容 B 裁判の効力 第6章 救済手続 @ 上訴 A 非常手続 B 裁判の執行 |
みなさん,こんにちは。Kenビジネススクール代表理事の田中謙次です。 Kenビジネススクールのメイン講座のひとつでもあります「法律入門講座」の中の「刑事訴訟法第2回目」講義をアップロードしております。 Kenビジネススクールでは,通信学生の方にも法律を “とにかくわかりやすく”理解していただくために,講義に工夫を凝らしております。また,理解+記憶定着のメカニズムを心理学の観点から研究し,映像にも工夫を凝らしております。 通信学生の方の場合は,このような映像をインターネットを利用して配信するか,またはDVDに収録して郵送する方法で学びます。講義で理解できなかったこと,その前提としての学習環境における悩み相談,資格試験情報等の相談は,いつでもメールにて受け付けております。急ぎの方や文章では質問が難しいものの場合は,電話でも対応しております。 ご興味のある方は,是非資料請求して下さい。 さて,本日は,憲法入門講座第1回目の講義をご覧になられたわけですが(サンプルなのですべてではありませんが…),刑事訴訟法などのいわゆる手続法はその目的・機能が民法・刑法・商法などの実体法と異なります。したがって,その違いを意識しながら学ばないと,まったくの絵空事かただたんに手続の流れだけを知っているというレベルにとどまってしまいます。講義では実例を挙げながら,手続のそれぞれの段階における制度とその根底にある法原理を意識してもらいつつ,学説・判例を検討します。 Kenビジネススクールでは,今後とも,受講生様の観点に立ち,学ぶ手段の拡充化と効率化を図って行きたいと考えております。 |